現在、ホログラフィあるいはホログラムの商品開発への応用に期待が高まっています。しかし、ホログラムの分野を俯瞰すると、その発展と市場成長を妨げている大きなの壁の存在に気付かされます。その一つが、ホログラムコンテンツやホログラフィック映像を表現する方法が限定的である点です。
この図は、典型的なホログラムの表現方法を示しています。
外部照明による従来のホログラムの観察方法です。
上質なホログラフィック3D画像を観察するためには、外部に配置した光源が必須となっています。しかしながら、この外部光源の必要性により、表現方法はかなり制約を受けています。たとえば、高精細なホログラムを接近して観察しようとすると、外部光源からの光を遮ってしまい、ホログラム映像が消えてしまいま す。また、作品発表の場は、どうしても薄暗い部屋の中に限定されがちであると言えます。
そこで我々は、ホログラム普及の障壁となる外部光源の解決策として、ホログラフィック照明ユニット、Ega-rimを提案しています。Holo-Windowの機能を逆に用いることで、ガラス端面に光源を配置し、ガラスの表面から所望の角度で照明光を回折出射させるエッジリット型の照明装置が「Ega-rim」です。これが実現すれば、額縁の前面のガラス自体が組込み型のシースルーなフロントライトとなり、ホログラフィックな3D映像を外部照明の制約無しに、自由に表現することが可能となります。フォトフレームに一体化して組込む事も可能であるため、日本語の「絵」や「画」を照明出来る「額縁」と言う意味で、絵画縁=Ega-rimと名付けました。
Ega-rim prototype
Future Ega-rim ( Image )
従来の表現方法
Ega-rimデザイン概念
「従来の表現方法」と「Ega-rimのデザイン概念」の比較です。
Ega-rimはあくまで照明の機能を持たせたホログラムであり、映像は記録されていません。
Ega-rimの基本原理は、一枚の薄い平坦なガラスに特殊露光されたホログラムが貼付けられているだけの単純な構造です。
ガラス端面から入射された光が内面反射により導かれ、ホログラムの回折作用によりガラスの表面から出射することで、照明光を生成します。この薄型の照明光を用いて、3D映像が記録された イメージホログラムを照明して立体像を再生させます。
Ega-rimの基本原理
実験段階のものですが、『絵画縁』の実験動画です。厚さたった1mmのガラス端面から入れた光で、ホログラム再生の原理実証ができました。
2016年11月11-13日、台湾で開催されたIWH2016(International Workshop on Holography and Related Technologies 2016)にて発表した論文
1mm-thick See-through Holographic Lighting Unit
"Ega-rim"
※Best Paper Awardを受賞。
◆ 2017年5月19日開催、平成29年、第2回 ホログラフィック・ディスプレイ研究会(HODIC)にて講演