Holo-Windowプロトタイプ

大面積ホログラムの露光試作(リップマン型)

Holo-Windowユニットのプロトタイプ製作のため、大面積のホログラムの露光試作を行いました。 光学系の主要部は、X-Y 自動ステージの操作により、最大 200×200mmサイズのホログラムの露光が可能となっています。

大面積ホログラムの露光試作(リップマン型)

露光試作した大面積ホログラム

実際に露光試作したホログラムの外観写真です。記録材料はフォトポリマーシートを使用、ホログラムは、O-type を敷き詰めるようにして露光を行ないました。ホログラムが肉眼で確認できる角度と照明を用いて撮影すると、一つ一つの部分ホログラムが鱗のように連なって露光されている様子が分かります。

露光試作した大面積ホログラム

Holo-Windowプロトタイプユニット

この大面積ホログラムを用いて、採光型発電ユニット(Holo-Windowプロトタイプ)の試作開発を行いました。露光試作したフォトポリマーシートをトリミングして、厚さ6mm のガラスに張り付けました。ガラスの端面には、幅10mm 程度にスライスした、リボン状のシリコン多結晶太陽電池セルをUV 硬化樹脂で組込みました。Holo-Windowユニットは、透明なホログラフィックフィルムとガラスが受光エリアとなり、これとは物理的に離れた位置が発電エリアとなるように構成されています。そのため、従来型の発電素子の 1/100 以下の発電エリアの面積で発電が可能となるという特徴があります。 また、左の従来型発電ユニットと比較すると、採光用のホログラムは「Holo Win.」の文字が見えるように、環境光は透過させながら、太陽の仰角のような特定の角度で入射する光だけを採光して発電するように設計されています。そのため、窓からの視認性が高く、屋外や室内からの外観も乱さないという特徴があります。

従来品(左)とHolo-Windowプロトタイプユニット(右)の比較

従来品(左)とHolo-Windowプロトタイプユニット(右)の比較


太陽光下でのHolo-Windowプロトタイプのテスト結果

試作したHolo-Window プロトタイプを用いて、実際に太陽光の下でテストしました。
太陽光による発電特性を示す I-V カーブと P-V カーブが得られ、プロトタイプではあるが、採光から発電までが基礎原理実証されました。しかし、この実験用プロトタイプは、O-type のホログラムで形成しており、仰角や波長への対応はできているものの、ホログラムのサイズが大きすぎ、重なりも少ないため、採光される光のエネルギー量が小さく、最適な出力はまだ取り出せておりません。しかし、Holo-Window の基本コンセプトに従って試作開発されたプロトタイプを用いて、世界で初めて発電ユニットとしての機能を確認することができた意義は大きいと思います。

太陽光下でのHolo-Windowプロトタイプのテスト結果