採光型ホログラムの開発

太陽光採光機能原理実験用 ホログラム露光光学系

光をガラスの内面に閉じ込める機能を持ったホログラムを、どのように露光製作するのか、これが本研究開発の一番大きなブレークスルーのポイントでした。 さらに、春夏秋冬、および、朝昼夕の太陽光の広い仰角と方位角に対応し、短波長から長波長に至るまでの広い太陽光の波長スペクトルを効率的に採光する方法の検討も、Holo-Window の実用化に向けては極めて重要です。

そこで、これらの原理実証を行なうことを目的として、右図に模式的に示すようなホログラム露光光学系を構築しました。光学系を断面方向から示しています。露光に使用するレーザー光源は、緑色レーザー(波長 532nm)を用いました。レーザー光源からの光は、1/2波長板(HWP1)と偏光ビームスプリッタ (PBS1)により光量比率を調整しながら2つのビームに分けられます。偏光方向を合わせるために、PBS1を透過した光は別の1/2波長板(HWP2)により偏光面を90°回転してS偏光とし、S偏光同士の二光束干渉法によるホログラムの露光が行なわれます。ホログラム記録材料には、波長 532nmに感度を有するフォトポリマー材料を用いました。光学素子の界面での全反射を防止し、臨界角の限界を超えた露光を実現するために、フォトポリマーをダブプリズムに挟み、このフォトポリマー面を含めたすべての境界面をマッチングオイルで覆い、反射率の異なる界面が無くなるようにしました。この露光光学系の構成により、窓ガラスの全反射の臨界角以上(θd)となる反射型ホログラムの作成が可能となります。ホログラムの反射角度 θd は、ミラー(Mirror)を調整することによりダブプリズムに入射する角度を変化させ、任意の角度に設定することが可能です。また、A部分には、様々な光学部品を挿入して、レーザー光の片方の波面をさまざまに変化させて露光が行なえるようにしました。このうち、例えば、N-type は何も挿入しない場合、L-type はレンチキュラーレンズを挿入した場合、O-type は顕微鏡の対物レンズを挿入した場合です。

太陽光採光機能原理実験用 ホログラム露光光学系

この光学系を用いて、実際に露光試作したホログラムサンプルが下の写真です。露光試作サンプルは、全て12mm 角にトリミングしてあります。

露光試作したホログラムサンプル